広げよう「里親」の輪

こども当事者や里親さんなど様々な方の
メッセージをお届けします

全国の里親さんが語る
「それぞれの一歩踏み出したストーリー」

北海道

STORY 01
里親の種類
養育里親、専門里親、ファミリーホーム
里親をはじめた年齢
33歳
現在の年齢
66歳
里親をはじめてみようと
一歩踏み出したきっかけ
私の母が2歳の時に、その父の事故死に伴い養子に出されました。母が温かい養親に育ててもらったことに対して、社会に恩返しをしようと考えました。調べるうちに、養子縁組よりも里親制度の方が気軽に取り組めて、児童相談所から指導や経済的支援が得られることが分かり、やってみようと思いました。
里親のやりがい
児童相談所から来たばかりの時には、緊張して暗い顔をしているこどもの表情が、1週間、1ヶ月、1年と経つうちに、少しずつ明るくなっていくのが良く分かることです。
実子がいない、あるいは巣立ってしまった場合には、買い物をする機会も少ないです。しかし、里子が来ると、スーパーでカゴに満杯になった食料品が、食卓で面白いようにこどものお腹に入って行く風景は、親として見ていて楽しいです。
どんな時が大変か、
またどう乗り越えているか
里子は一般のこどもに比べて問題行動が多い子もいて、養育の難しさが3倍か4倍くらい多いと感じます。児童相談所が過去の生育歴をほとんどは握していないことも少なくありません。こどもが赤ちゃん返りや試し行動を取ることも多く、自分にはこの子は育てられないと思うこともありますが、もうひと踏ん張りと思っていると、何とかなることが多いです。
里親会やファミリーホーム協議会で知り合った先輩里親からの助言が、非常に参考になります。
こどもが問題行動を起こしたときに、何でも児童相談所に相談すると、里親の能力不足や里親側の行動に問題があるのではと見なされ、里親・里子の意思に反して措置解除にされることがあるため、気軽に相談しにくいです。児童相談所への相談は必要ではありますが、適度な距離感について、先輩里親から助言を受けると良いと思います。
里親に関心のある方へ
エール
実子でも里子でも、親子関係には相性があります。養育がうまくいくかどうかは、やってみないと結果は分かりません。実子や養子と違って、里子は、育ててみてどうしてもうまく行かなかったら児童相談所にお返しできる(あるいは児童相談所に強制的に引き上げられる)ので、全面的にその子の人生に責任を負うものと考える必要はありません。あまり深刻に受け止めると始められないので、とりあえず経験者の体験談を聞くセミナーなどに参加してみてはいかがでしょうか。
人間には相性があるので、自分にはうまく育てられなかったとしても、他の里親や施設に移ってからうまく行く場合もあり、その逆のこともあるので、とりあえず取り組んでみてはと思います。
仮に自分の家で思ったとおりの結果が得られなかったとしても、そのこどもにとって里親宅での経験は、絶対無駄ではないので、自信を持って取り組んで欲しいです。
STORY 02
里親の種類
養育里親、専門里親、ファミリーホーム
里親をはじめた年齢
31歳
現在の年齢
64歳
里親をはじめてみようと
一歩踏み出したきっかけ
夫から、夫婦で里親になりたいと言われました。夫の実の母親が養親に育てられた幼少期に苦労したと聞きました。
夫はこどもをきちんと育てたいと思ったようで、それを聞いて、私もまあやってみようかと思い、2人で里親登録を受けました。
私達の実子が育てやすいこどもだったので、子育ては難しくないだろう、一緒に楽しめば良いかと、安易な気持ちから始めました。
里親のやりがい
普通の生活、たとえば家で一日三食をきちんと摂ったり、栄養のある物を食べていないこどもも多いです。色々な経験をさせること、芝居に映画、コンサート、キャンプ、旅行など、こどもにこども時代の楽しい思い出を作ってやれて、大人になっても楽しい思い出、家庭生活を覚えていて、一人前の大人になったのを見られることが、達成感もあり、私の喜びでもあります。
母の日や誕生日に、プレゼント(ちょっとしたものであっても)をもらった時、里親になって良かったと感じます。そうしたちょっとした喜びがあるから、里親を続けていられます。
どんな時が大変か、
またどう乗り越えているか
やってくる里子には、障がいがある場合も多く、例えば照明を消すことや風呂の水道の蛇口を締めることなどの簡単なことでも、何万回言ってもできないこともあります。
いくら説明しても理解されないことが多く、体が大きく外見上も普通でも、こうしたことができないこどもには、里親が我慢して付き合い、この子達はこういう性格なんだと、こちらが納得するしかありません。
こうした障がいを持つ子には、ありのままを受け入れること、それしかないと思います。
里親に関心のある方へ
エール
私は最初、子育ては簡単だと思っていました。ご飯を食べさせて、寝かせ、起こすといった日常の生活。ところが、実際に来るこども達には問題を抱えたこどもが多いです。そんなこども達でも、「できること」が増えてきたり、「ママ」と言ってくれる時には、可愛く感じるものです。
こどもは、実子でも「可愛い」と思う時と「憎たらしい」と思う時があります。里子も同じです。ただ、どの里子も、親から「可愛い」と思って欲しいという気持ちが強いです。抱きしめて、可愛いと言ってやれれば、立派な里親です。難しく考えずに、ありのままのこどもをうけとめて上げれば良いと思います。
里親になって良かったと思う日がきっと来ますよ。ファイト!
STORY 03
里親の種類
養育里親
里親をはじめた年齢
38歳
現在の年齢
53歳
里親をはじめてみようと
一歩踏み出したきっかけ
結婚して5年以上経ってもこどもができなかったため、民間の養子縁組に申し込みをしていましたが、そこは養子斡旋が主目的ではなく中絶防止を働きかける団体だったため、すぐにこどもがくる可能性が低いから、同時に里親も登録してみてはいかがですか?と言われて申し込みました。
親友が若いうちから里親をやっていて、その辺りの事情も他所の人よりは理解していたこともあり、参入障壁は低かったかと思います。
里親のやりがい
預かるこどものほとんどが実親との関係性が希薄、破壊されており、その年齢に見合った経験を積み重ねていないため、普通に接しているだけで表情が明るくなったり、自分の意志を表明できるようになったりします。そういった変化が見られるようになるとうれしいです。
あと、うちに来るこどもの100%がアトピーのような皮膚疾患や円形脱毛症、その他ヘンテコリンな病気を持ってきますが(薬を山ほど持ってくる)、なぜか1ヶ月くらいでみんな治ります。
どんな時が大変か、
またどう乗り越えているか
どのような環境で育ってきたのかがよくわからず、実親も自分に不利なことは言わないため、こどもの行動・情緒で不自然なことが多くても、どうしてそうなるかがわからず、接し方を一から模索しなければならないことです。
コミュニケーション能力が著しく欠如していて、関係性を築くのにものすごく時間がかかります。信頼したいと思っても裏切られることばかりで疲弊します。
我が家は夫婦で育てていることもあり、対処策や愚痴などをとにかく共有し合っているからこそできているかなと思っています。
里親に関心のある方へ
エール
関心がある時点ですでに里親に向いていると思うので、まずはやってみてはいかがですかと言いたいです。
大変なことも多いですが、いろいろ相談できる機関もあるし、本当にしんどくなったらこどもを児相に戻したっていいんです。自分が何がなんでも、というよりも社会の一端としてその子を育てているという気持ちさえあれば十分です。子育てというと責任を重く感じるかもしれませんが、「安心して寝られる環境」「おいしいご飯」「たまに楽しいレジャー」さえあれば里子はすくすく育つし、これだけでものすごく変わります。
STORY 04
里親の種類
養育里親、専門里親、ファミリーホーム
里親をはじめた年齢
32歳
現在の年齢
42歳
里親をはじめてみようと
一歩踏み出したきっかけ
両親がファミリーホームを運営しており、その後継となるためです。
里親のやりがい
本来の家庭での養育が不調、不良であることでこどもの育ちに少なからず弊害が生まれます。暴力的な言動、支配的な人間関係構築(その逆もある)、虚言、盗み癖、情緒不安定など。そんな弊害からファミリーホームで生活をしていく中でゆっくりではあるがすこしずつ立ち直っていき、本来のこどもらしい姿を見せてくれた時です。
どんな時が大変か、
またどう乗り越えているか
こどもならではの正論が通じない開き直りの様な押し問答になるとき。はいはいとやり過ごして無為な衝突はせず、大人もこどものタイムアウトを図ります。
また何度も同じ間違いを繰り返すことも多く、そのたびに里親は感情を揺さぶられますが、こどもを信じて根気強く、思いをもって諭し続けなければなりません。
里親に関心のある方へ
エール
「こども=かわいい、純粋無垢」というイメージだけでは大変です。両親による家庭養育ができないということはこどもの育ちにとって致命的です。育ちにも大きく影響を与え様々な表出があります。時には里親やその家族の尊厳を傷つける言動もとります。それでも彼らには我々の存在が必要です。現代社会とその未来においてもその必要性はいうまでもありません。覚悟と使命感、専門性向上に向けた不断の努力が必要となります。
STORY 05
里親の種類
養育里親、専門里親、ファミリーホーム
里親をはじめた年齢
31歳
現在の年齢
42歳
里親をはじめてみようと
一歩踏み出したきっかけ
児童養護施設で働いていました。90名のこどもたちが生活していたので、こどもたちそれぞれに合わせて支援することが現実問題として難しいと感じ、少人数で手厚くサポートできるファミリーホームをやりたいと思いました。
里親のやりがい
こどもの辛さや特性を徐々に理解できるようになると、自分の成長を感じるとともに、こどもたちに共感することが出来るので関係が良好になっていく過程が喜びです。また、こどもたちが自分のやりたいことに挑戦している姿をすぐそばで応援できることも非常に喜びになります。
どんな時が大変か、
またどう乗り越えているか
こどもの精神状態を理解することが出来ないときは、困って、どうしても自分は悪くないという思考になりやすくなるので、精神科医にこどもの状態を教えてもらうことで、サポートしてもらっています。
里親に関心のある方へ
エール
こどもが深く傷ついていたり、大人のことを信用できないというスタートから、関係を構築することは非常に難しいですが、でも、こどもたちの回復する姿や徐々に信用してもらえたときの喜びは大きなものです。大変な思いをする分、自分の人生が確実に彩り豊かになります。ぜひ、社会に希望を持てるようなこどもたちになるように一緒にサポートしていきませんか。
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